【新唐人2010年6月20日付ニュース】日本人にも人気の高い敦煌の莫高窟。しかし、観光客の増加により、その劣化が進んでいます。当局はその対応策として、莫高窟の体験センターを計画中ですが、物議を醸しています。
1970年代以降、これまでに80カ国以上の600万人あまりが莫高窟を訪れました。しかし、観光客の増加が仏像などの劣化に拍車をかけました。
これを受けて、地元政府と国は2億6千万元、日本円で約34億円を投じて、体験センターを造ることを決定。建設場所は莫高窟から15キロ離れた場所で、面積は4万平方メートル。ここではデジタル処理された映像などが楽しめます。観光客の莫高窟での見学時間を減らすのが目的です。
莫高窟といえば、おなじみの河西回廊から果てしない大砂漠、ゴビ砂漠の上に作られた千佛洞。735の洞窟には、45000平方メートルに及ぶ鮮やかな壁画と、2000もの彩色が施された仏像があります。
「莫高窟を見れば、世界中の古代文明を見たようなものだ」。外国人からはこんな声さえ上がります。宋の時代、シルクロードの衰退に伴い、莫高窟は徐々に忘れられ、一度は砂漠に埋もれました。しかし、1900年、道士の王円籙はここで、5万件あまりに及ぶ、貴重な文献を発見します。この時から、敦煌は再び人々の目の前まえによみがえったのです。そして1987年には、世界文化遺産に登録されました。
当局の「体験センター」の計画は、物議を醸しました。「偽物」の莫高窟など人を引き付けはしないし、費用などの負担も膨大だと案ずる声があります。特に根強いのは、「本物」の莫高窟を見学する際、「偽物」のチケットも買わされるのではないか、という不安です。センターの巨額な建設費用は、結局観光客が払らうことになると見られるからです。
文化遺跡をデータ処理することについて、「敦煌の壁画は、遥かな時が生み出した色合いの変化こそ美しい。もし、無理にデジタル処理したら、本物の味わいがなくなるかもしれない」との声がネットで聞かれます。
新唐人記者がお送りしました。